建築法規:その1
そもそも建築法規とは何を意味するのか?

 建築に関しての法律といっても、それらに関連した法律はものすごく範囲の広い世界があります。大まかに分類するとおおよそ次の3種類に当たるのではないかと思われます。

  @ 建築基準法 A 建築士法 B 建設業法

「建築基準法」 は、建築物の敷地・構造・設備および用途に関する最低基準を定めた法律で、設計・建築する時は、すべてこの法律に合致させなければ建てられません。その内容は、非常に細かく規定されていて、おそらく世界の建築法規の中でも、ここまで難解にしているのは、日本ぐらいではないかと思えるほどです。


「建築士法」 は、建築の設計や監理を行なう技術者の資格を定めた法律であります。


「建設業法」 は、建設業を営む者の登録の実施、建設工事の請負契約の規制、技術者の設置などを定めた法規です。


 これ以外には、「民法」 の中にも建築に関係する部分があります。また「消防法」「都市計画法」 など、建築に非常に関連深く、実際それに縛られている多くの法規があるというように、建築物を設計し建築するには、法律にある程度は強くないとうまく進められません。


敷地の法的条件
 各地域地区では、都市計画上の規制をもうけています。建築計画はその規制にそったものでなければなりません。
 建物の
用途・規模・防火・日影などの法的条件の確認が必要になります。

 用途・容積などの法的条件が計画の趣旨にそわない場合は、その敷地での建築計画がなりたたないということにもなります。

◆◆都市計画区域◆◆

市街化調整区域
・「市街化調整区域」…市街化を抑制すべき区域です。かなり色々と制約があり、安易に住宅用地としての利用は難しいと思われます。場合により、住宅建築が可能な場合があります。
 ・建物の用途・使用に制限がされています。

市街化区域
・「市街化区域」…すでに市街化を形成している区域及び、おおむね10年以内に優先的、かつ、計画的に市街化を図る区域です。この市街化区域内に更に細かく「住居系用途」「商業系用途」「工業系用途」に分類されます。

  
用途地域
建物の用途種類に関するおもな規制です、詳細内容は省略します。
  ・第1種低層住居専用地域
   …低層住宅の専用地域。
  ・第2種低層住居専用地域
   …小規模な店舗の立地を認める低層住宅の専用地域。
  ・第1種中高層住居専用地域
   …中高層住宅の専用地域。
  ・第2種中高層住居専用地域
   …必要な利便施設の立地を認める中高層住宅の専用地域。
  ・第1種住居専用地域
   …大規模な店舗・事務所の立地を制約する住宅地のための地域。
  ・第2種住居専用地域
   …住宅地のための地域。
  ・準住居地域
   …自動車関連施設等と住宅が調和して立地する地域。
  ・近隣商業地域
   …近隣の住宅地の店舗・事務所等の利便の増進を図る地域。
  ・商業地域
   …店舗・事務所等の利便の増進を図る地域。
  ・準工業地域
   …環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便の増進を図る地域。
  ・工業専用地域
   …工業の利便の増進を図るための専用地域。
        
(住宅が建築出来ませんので注意して下さい。)
  
防火地域
規模によって耐火・防火構造にしなければならない規制です。
(コンクリート造・鉄骨造・木造などの種類)
  ・防火地域
  ・準防火地域
  
高度地区
北側隣地への日照を考慮するための斜線制限です。
  ・第一(二、三)種高度地区
  ・最低限高度地区
  
建ぺい率・容積率
建物の規模に関する規制です。
  
「建蔽率」…ケンペイリツと読みます。建築物の建築面積の敷地面積に対する割合を示します。
建ぺい率とは、建物を真上から投影したとき、建物部分が敷地面積の何パーセントになっているかという数字です。
(建物投影面積÷敷地面積×100=建ぺい率)

  
「容積率」…建築物の延面積の敷地面積に対する割合を示します。
容積率とは、各階の床面積の合計(延床面積)が敷地面積の何パーセントになっているかという数字です。
(延床面積÷敷地面積×100=容積率)
  
その他の規制
  ・日影規制
  ・特別工業地区
  ・文教地区
  ・風致地区
  ・都市計画(道路、公園、緑地、高速鉄道)
  ・地区計画
  ・沿道整備計画
  ・建築協定区域
  ・市街化調整地域
  などの規制が定められている地域もあります。



計画敷地・現況道路との関係

敷地と道路の関係は非常に重要な項目です。


● 計画地が道路に2m以上接しているか!

 民法では袋地の住民は、通行地の損害について金を払えば、他人の土地を通行する権利が与えられています。分割により、道路に出られなくなった時は、ただで分割地を通って良い事になっていますが、建築確認申請時は、建築基準法が基本となりますので、敷地が2m以上道路に面に対して接していないと、建築はおろか審査さえできません。

● 現況道路の幅員確認!

 接道する現況道路の幅員が4mに満たない場合、その道路の現況の中心線から2メートル自分の敷地側に後退した線までを道路と考えて、敷地境界線を後退させて計画しなければなりません。
道路斜線などの法規制がある地域では、建物の位置や形に制約が発生します。

 建築の敷地面積と建築可能な床面積の関係を表わす 「容積率」も、道路幅員と密接な関係があります。



民法と建築(敷地)の問題
 家を建てる時に、直接関係のある部分を簡単に明記してみました。まず土地の所有権は、その土地の上下に及ぶとなっています。だから、自分の土地の上に、勝手に何かがあれば文句が言えるわけですが・・・

 隣地の水が、自然に流れてくる時は妨げてはいけないことになっています。しかし、じかに雨水を隣地に注ぐような屋根などは造ってはいけないことになっています。

 高い所にある土地の所有者は、農工業用・家用の余水などを流すために、公流に至るまで低地の最も損害の少ない場所に水を通すことができます。また、土地の所有者は、分担金を払えば、高地または低地の所有者が設けた下水設備を使うことが出来ます。

 土地の使用者は隣地の所有者と共同の費用をもって測量をし、境界標を設けることができます。

 土地の境界に、隣地の人と共同の費用で塀を作ることができます。但し、隣と協議できない時は、塀は板か竹の塀で高さは2mまでです。

 境界線上に設けた界標・塀・擁壁・溝などは、相隣者の共有物とみなされます。但し、一棟の建物の部分に境界線が当たるような壁はこの限りではありません。

 隣地の木の枝が境界線を越えている場合は、木の所有者に切ってもらうことができます。根の場合は、こちらで切り取ることができます。

 建物を建てる時は、境界線より50cm以上の距離を離さなければなりません。この条項に違反して建築をしようとする者に、隣地の所有者は、建築を廃止し、また変更させることができます。建築着手後1年経たものや、竣工したものについては、損害賠償のみをすることができます。

境界線より、1m未満の距離にあって、他人の宅地が見渡せる窓や縁側を設ける者は、目隠しを付けなければなりません。

井戸・水溜・下水や肥料溜を設ける時には、境界から2m以上、池や穴、便所などは1m以上離さなければいけません。またその工事を行なう時には、土砂の崩壊、水や汚水の漏れがないように、十分な注意をしなければなりません。

 以上のようなことが、主な項目ですが、これらの項目には、大体これらの規定に異なった慣習がある時にはその慣習に従う、という項目がつけられています。

 その中で、特に問題が多いのは、壁面の50cm後退の条項ですが、建築基準法では商業・近隣商業地域にある耐火構造の建築物は、壁を境界一杯に設けてよいと規定されています。特に地価の高い市街地では、この条項や、窓の目隠しなどは適用されにくい項目で、これらは付記されている異なりたる慣習に当たる思われますが、あまり勝手な解釈をすると隣地所有者ともめることもありますので、この法の異なることを行なうためには、慎重な配慮が必要かと思われます。一般的には、これらの解釈には建築基準法が適用されるケースが多いようです。



建物の面積、高さ等の確認
・建築基準法での建物「建築物」とは、”土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに付属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいい、建築設備を含むものとする。”といった言葉で定義されています。

☆チョット雑学ですが・・・☆
鉄道の保安施設・こ線橋・プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設は、建築物ではないのですよ!

○ 建物の床面積とは?

 ・床面積の表現で、よく建築面積とか、床面積・延面積とかの言葉を聞くと思われますが、建築基準法ではどの様な言葉で定義されているか紹介します。

  「建築面積」…建築物の外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。(抜粋)
  「床面積」……建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
  「延面積」……建築物の各階の床面積の合計による。
  「築造面積」…工作物の水平投影面積による。

 ・法律用語は、本当につまらない文書だとしみじみ感じます。要するに、私なりに大雑把ですが解釈している事は、建築面積は屋根を上から光を当てたの日影面積で、床面積は各階ごとの間取りの面積だと思っています。

○ 建物の高さとは?

  「建物の高さ」…これほど漠然としたものはありません。建築基準法では、「地盤面からの高さによる。」とだけしかありません。但し書きを除けばのお話ですが、またこの但し書き事項が、かなりのくせものです。

○ 北側斜線とは?

  「北側斜線」…低層住宅の保護を目的として指定されたもので、日照権を考慮し北側斜線と絶対高さの制限をしたものです。主に、この斜線の制限範囲は基準法範囲内では一般的に第1種住居地域以降の用途地域には規制対象にはありません。但し、各都道府県による高度指定等の規制があればその高度規制の適用を受けますので注意が必要です。

○ 道路斜線とは?

 「道路斜線」…都市環境の保護を目的として、建築物の形態に制限を加えようとしたものです。住宅設計(2階建程度)において気をつけておく場合は、道路幅員が6m以上あればさほど心配はありませんが、4m道路では、多少建物の外観に制約を受ける場合がありますので、注意が必要かと思われます。

○ 隣地斜線とは?

  「隣地斜線」…道路斜線同様に、市環境の保護を目的として、建築物の形態に制限を加えようとしたものです。住宅設計においてあまり心配する事はないと思われます。よく商業施設等の高層建築の場合に悩まされる斜線です。



建物の居室等の確認

○ 採光・換気・排煙のチェック


  ・採光とは?
日照権の問題は、相変わらず新聞紙上でもにぎわす問題であります。確かに近年の都市の高層化、高密度化により、自然採光を人間の生活空間に取り入れることは、年々困難になってきていると思います。その様な問題を多少でも解消するために、用途地域別にみた窓等の開口部と隣地境界線との距離をどれだけ離せばよいかといった規制です。この法律も、平成12年に検討方法がだいぶ改正されました。旧法と比較すると、設計サイドからは、楽になりましたが、実際の自然採光の取り込みはかなり困難なものになっています。

  ・換気とは?
一般的には、火気使用室(キッチン等)は当然、火を使用しますので換気の必要性があります。その設備方法としては、「自然換気設備」・「機械換気設備」・「空気調和設備」等があります。それぞれ難しい計算式がありますが、その辺は省略します。又、火気使用室と「内装制限」は密接な関係ですので注意が必要です。
その他として、ある一定の規模を超えたり、構造・用途によって「居室」に関しても、その居室の床面積に対しての換気有効面積の規制があります。

☆参考☆
 換気有効面積=居室の床面積×1/20以上の確保!

  ・排煙とは?
最近の建築建材、特に内装材料の中に煙と有毒ガスを非常に多く発生するものがあります。したがって火災発生時にいかに処理するかという事が大きな問題になります。但し、一般の住宅ではほとんどその規制に該当しないと思われますが、ある一定の規模を超えたり、構造・用途によっては、規制を受けます。2階建住宅ですとほとんどの場合換気・排煙等の規制は受けませんが、計画の時点でその問題はチェックしておいたほうが良いと思われます。

☆参考☆
 排煙有効面積=居室の床面積×1/50以上の確保! 但し、天井から50cmまでを有効とします。

○ 階段・廊下等のチェック

 ・階段のケアゲ・踏み面とは?
住宅に限定していうと、ケアゲ:23cm以下・踏み面:15cm以上・有効巾:75cm以上と建築基準法で決められていますが、実際にこの数値で階段を制作するとものすごく急なハシゴ段の様なものになると思います。一般的には、ケアゲ:20cm以下・踏み面22cm以上が多いと思われます。この数値は、更にゆるやかものになっていく方向です。平成12年の法規改正で、更に階段手摺が義務付けられましたので、有効巾も75cmでは、かなり狭いので90cm程度は必要かと思われます。

  ・廊下の有効巾とは?
特に住宅での廊下巾の法的規制はありませんが、階段と同等の数値が一般的でしたが、バリアフリー等の普及により最近では、90cm程度の有効巾を確保する方向になりつつあります。

○ その他のチェック

 ・天井の最低基準高さとは?
住宅に関しての居室の天井高さは、法的には2.1m以上を確保しなければなりません。一般的には2.4mが主流でしたが、最近では、2.5m〜2.6mもかなり増えています。



建物の工法等の確認
○ 建築工法の種類紹介

 ・木造在来工法
建築構造体が木材で土台・柱・梁・母屋等から構成される従来からある建築工法

 ・木造枠組壁工法(2×4)
建築構造体が木材で2インチ×4インチからなる部材からパネルを組上げる建築工法

 ・木造大断面工法(ラーメン)
建築構造体が木材で大断面からなる部材により柱・梁等は専用金具で緊結する建築工法

 ・軽量鉄骨工法
建築構造体が軽量鉄骨にて構成されている建築工法

 ・重量鉄骨工法
建築構造体が重量鉄骨からなる大断面で構成される建築工法

 ・鉄筋コンクリート工法
建築構造体が鉄筋とコンクリートの材料からなる大断面で構成される建築工法

・鉄骨鉄筋コンクリート工法
建築構造体が重量鉄骨・鉄筋・コンクリートの材料からなる大断面で構成される建築工法

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